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事業計画

令和6年度事業計画書

我が国を支える社会基盤の中でも電力を安定供給すると共に電気保安を確保することは、日常生活、経済活動を維持・拡大していくためにも益々重要になってきている。

昨年度は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に引き下げられ、ようやく通常の生活が戻ってきたが、世界的なインフレや地政学的リスクの高まりなど、一昨年に続き不確実性が増した年であった。国内経済面では、長引く円安傾向に伴う諸物価高騰、働き方改革への対応、2024年問題等、社会構造がめまぐるしく変化し、企業や家計においても大変厳しい状況が続いている。

また、昨年の夏は記録的な猛暑となり、異常気象による集中豪雨が各地で発生し、今年1月には能登半島地震の発生など、激甚化する自然災害を再認識させられ、人命第一の下、電気技術者が迅速な災害復旧を目指し努力されたことは、我々の誇りでもある。

一方、このような社会情勢下にあっても、国内外のエネルギー分野では、脱炭素化、デジタル化という大きなトレンドが進行しており、電気は経済社会を支えるインフラとして、これからも一層重要になっていくと考えられる。このことは、電気保安人材の育成・確保が年々厳しくなってきている中においても、電気保安を担う電気技術者に期待される役割は、益々高まっていくものと認識している。

更に今後求められているのは「電気保安分野におけるスマート保安」の推進である。IoT、AIやビックデータ等を活用する「スマート保安」への取り組みが必要不可欠であり、電気業界全体として、人材の一層の効率的な活用を図り、我が国の保安力の向上を実現していくことが社会的に求められている。

当協会は、電気保安を担う電気主任技術者等の技術力向上や相互交流の場の提供、変化する制度などに関する情報提供、新しいニーズへの対応などの活動を発足以来推進している。

令和6年度においても、電気技術者に求められる使命は、従来にも増して大きくなっており、そのために必要となる知識の習得や現場技術の経験を積み重ね、何時でも求めに応じて提供することが重要であることから、当協会の設立目的である、①電気設備事故及び人身事故の防止、②電力の安定供給、③電力の有効利用及び地球環境保全に寄与する技術の普及啓発を図ることとする。

また、当協会の会員数は平成10年度をピークとしてその後は減少傾向が続いており、会員数を増加させるべく努力を続けているが、直近ではピーク時の約半数まで減少し、歯止めがかかっていない状況となっている。会勢を維持・向上させるために、本部・支部が一体となって具体的な会員増強対策を策定・推進することを念頭に、次の事業を展開する。

 

一 公益目的事業(公益目的事業会計)

Ⅰ 技術向上事業

(電気主任技術者等に対する講演会、研修会、施設見学会の開催)

電気の安定供給を支える電気主任技術者等の技術・知識の向上を図るため、電気保安と安定供給に必要な技術・知識等に関する講演会及び研修会・講習会を開催すると共に電気施設見学会を開催する(「別表」参照)。

これらの事業は、原則として会員/非会員を問わず参加することを可能とする。但し、研修内容のレベルを維持する目的から、会員又は前段階の研修を受講した者に限定する場合、あるいは見学先の要望により会員に限定する場合がある。

  1. Ⅰ-1 講演会の開催

    1) 電気主任技術者会議

    自家用電気工作物の電気保安を監督している電気主任技術者等に対して、各支部域の経済産業省産業保安監督部をはじめ、関係団体等と協力して、専門知識と実務経験豊かな者が、電気事故の現状と再発防止対策、電気保安上の注意事項、関係法令の改正内容、電気施設管理(省エネを含む。)に関する新技術等の講義・講演を行う。

    開催の周知は、会誌、開催支部毎の郵送又はE-mailによる通知、支部報、ホームページ等にて行う。

    2) 安全セミナー、電気安全講演会

    自家用電気工作物設置者及びその従業員、電気主任技術者、電気管理技術者、電気保安法人等を対象に、専門知識と実務経験豊かな者が、電気事故の未然防止対策、関係法令の改正内容、省エネ対策等の講義を行う。

    開催の周知は、会誌、E-mail、支部報、郵送、ホームページ等で行う。

    Ⅰ-2 電気技術研修会の開催

    保護継電器試験、保護協調、電気機器の運転保守実践技術、電気故障計算の実際、電気事故事例の教訓、電気関係法令等実技や実務に直結したテーマについて、専門知識と実務経験豊かな者が、講義あるいは実技研修を行う。

    開催の周知は、会誌、E-mail、支部報、ホームページ等で行う。

    Ⅰ-3 会員の自己研鑽意欲の向上支援

    令和4年度に本格的に導入した「自己研鑽努力証明制度」に基づき、支部において積極的に取り組むと共に、参加会員範囲の拡大に努める。

    開催の周知は、会誌、E-mail、支部報、ホームページ等で行う。

    Ⅰ-4 電験受験講習会の開催

    電気主任技術者資格取得を目指す者に対して、電気理論、電気計測、発変電・送配電工学、電気機器、電力応用、電気法規、電気施設管理等について、第一種電気主任技術者有資格者等が実戦講義を行う。

    開催の周知は、会誌、E-mail、支部報、ホームページ等で行う。

    Ⅰ-5 電気施設見学会の開催

    電気主任技術者等が最新技術を採り入れた電気施設を見学し、普及させることにより、電気保安業務の質の向上を図るため、個々人では見学することが困難な最新の電力供給システム、電気機器・設備の製造工場、電力需要設備等の見学会を開催する。

    開催の周知は、会誌、E-mail、支部報、ホームページ等で行う。

Ⅱ 技術相談事業

(電気主任技術者等に対する技術相談)

昨年度は、技術相談委員会の相談体制を強化・整備し、会員サービスの向上を図ってきたところである。日常の電気保安業務遂行において遭遇した、電気技術に関する不明点・疑問点等に対して、当該分野に詳しい会員有志あるいは学識経験者が、回答・助言を行う技術相談事業は、高い評価を得ており、引き続き、回答書作成協力者を拡大する等事業の充実を図る。

なお、運営に当たっては、回答作成協力者の拡大を図る。

Ⅲ 電気技術講座

(ホームページ上で電気主任技術者に必要な技術等を解説)

音声付電気技術解説講座(令和5年度末264講座)は、一般に無料で公開すると共に、電気を取り巻く環境の変化、利用記録の分析、利用者アンケートに寄せられた意見等を踏まえると共に、電気技術解説講座運営委員会の下で、抽出した音声付き電気技術解説講座に不足する講座を計画的に作成し、講座内容の充実を図り、協会の使命である①電気技術者の啓発、②後進の指導育成、③電気技術の普及発達に寄与するため利用者サービスの向上を図る。

Ⅳ 技術周知事業

(電気主任技術者等に必要な技術等を調査・分析し、会誌等で周知)

  1. Ⅳ-1 会誌「電気技術者」、支部報

    専門知識と実務経験豊かな会員及び学識経験者が、電気主任技術者等が行う電気保安業務に必要な電気関係法令・通達及び民間規程の改正状況、電気施設の運用技術、保守管理に係る試験・測定技術、電力応用機器等に関する新技術(再生可能エネルギー・省エネルギー・スマート保安を含む)等を調査・分析し解説を加え、また、電力需給システムに生ずる様々な電気事象・電気事故例を収集して、現場技術的な観点に立って原因と再発防止対策を見出し、会誌「電気技術者」及び支部報に掲載する。

    併せて、他の法人が主催する事業であって、協会が協賛する事業に関する情報も必要に応じて掲載する。

    会誌「電気技術者」は、毎月15日に発刊し、会員に配布すると共に、国立国会図書館、関係省庁、関係団体等へ無料頒布するほか、一般の購読者には有料で頒布する。

    会誌の編集に当たっては、次の事項に重点を置いて、会誌編集委員会において検討を行う。

    また、会誌に連載した記事については、読者の利便性の向上に役立てるため、一冊に纏め希望者に有料で頒布する。

    1) 調査・分析記事の充実

    ① 電気関係法令及び民間規程の改正点に関する平易な解説

    ② 電力需給システム及びそれらを構成する機器・設備、電気保安技術等に関する新技術等の解説

    ③ 再生可能エネルギーシステム及びそれらを構成する機器・設備、電気保安技術等に関する解説

    ④ 負荷平準化を含む省エネルギー技術等に関する解説

    ⑤ スマート保安に関する新技術とその使用例等の掲載

    ⑥ 電気主任技術者等が現場において、平常時あるいは非常災害時に遭遇した電気事故・トラブル及びその対応事例、失敗経験等の掲載

    ⑦ 実務経験を持たない電験三種保有者が電気保安業務に就くに当たって必要な電気保安技術の掲載

    2) 会誌記事に対する会員の反応(毎月のアンケート)

    3) 電気保安技術等に関する論文の公募と一定水準に達している論文の掲載

  1. Ⅳ-2 ホームページによる周知等

    年間アクセス数280万弱の音声付電気技術解説講座の母体となっているホームページ上の情報交換の場を維持すると共に、協会事業への参加機会を提供するため、講習会等の情報提供を行い、協会・会員間の双方向の意志疎通強化を推進する。

    1) 利用者相互の情報交換の場の提供

    ① 一般の電気主任技術者等が日常遭遇する様々な事象に関して、情報や意見を交換することができる「情報・意見交換掲示板」

    ② 会員相互が質問、情報提供あるいは意見をすることが出来る「会誌関係掲示板」、「事故・トラブル関係掲示板」や「会員の広場」

    ③ 「電気技術解説講座関係掲示板」

    2) 電気主任技術者等への情報提供

    ① 支部が行う講演会、講習会等の開催・参加募集情報

    ② 関係法令改訂の解説

    ③ 維持会員等の電気技術者に対する情報

    ④ 会誌「電気技術者」の目次

    ⑤ 協会が協賛する他法人が行う講習会等の開催情報

Ⅴ 表彰事業

(電気保安技術の奨学研鑚者に対する表彰(樋口賞等))

  1. Ⅴ-1 樋口賞

    会誌「電気技術者」の令和5年1月号から令和5年12月号迄に掲載された論文の中から、樋口賞選考委員会が優秀な論文を選考し、理事会の議を経て、その執筆者に対して、第70回定時社員総会において、樋口賞として表彰する。

    なお、樋口賞選考委員会の選考にあたっては、会誌などを活用して会誌読者の意見収集を行い、参酌する。

    Ⅴ-2 電気工学奨学者等に対する表彰

    次代を担う電気技術者の育成に資するため、学校教育等の教育の場で特に努力したとして学校長から推薦された者を、支部長名で表彰する。

 

 

二 その他事業(法人会計)

Ⅰ  表  彰

  1. Ⅰ-1 支部長表彰

    各支部の支部長表彰選考委員会において、協会の運営及び事業に貢献した会員を選考し、支部大会において、支部長が表彰する。

    Ⅰ-2 会長表彰

    支部長表彰を受賞した者であって、引き続き協会の運営及び事業に貢献した者について、支部長から推薦された候補者を、会長表彰選考委員会において審査し、理事会の議を経て、第70回定時社員総会において、会長が表彰する。

    Ⅰ-3 外部機関の表彰

    叙勲、褒章、電気保安功労者、澁澤賞等の候補者推薦を、実施機関の要請に基づいて、各支部において行う。

Ⅱ 広報活動の強化

世界に例を見ない電気主任技術者制度は、これまで我が国の電気保安の維持向上に寄与してきたところである。この制度を今後とも維持継続していくためには、協会の果たす役割は欠かせないところであるが、協会の会員数は平成10年以降、漸減傾向となっている。このため、協会の事業に賛同する多くの電気技主任術者等及び電気技術又は電気技術行政に理解のある法人・団体にご入会いただくために、本部・支部が一体となって、会員増強のための新たな対策について、具体的な検討を開始したところである。会員が魅力に感じられる価値を明確に提供できる仕組み作りを引き続き検討し、具体的対策を展開して会員増加に繋げる。

  1. Ⅱ-1 各種行事等における入会の勧誘

    ① 協会が主催、共催又は協賛する講習会、研修会等において、協会のPRを行うと共に、入会案内書等を配布する。

    ② 本部・支部が一体となって会員入会キャンペーンを展開し、電気技術者及び電験合格者等に対して、入会を促すよう要請する。

    ③ 年間アクセス数280万弱の音声付電気技術解説講座の利用者を対象にして、画面上に入会案内を掲載する。

    ④ ホームページのリニューアルや入会案内書を刷新すると共に、入会手続きのデジタル化等を推進する。

    ⑤ 維持会員を拡大するために、関係団体、関係業界への入会案内を推進する。

    Ⅱ-2 効果的な広報活動の検討・実施

    これまでの業界紙等による協会のPRを含め、効果等の再検討行い適切なものを実施する。

    Ⅱ-3 会員による入会キャンペーン

    会員一人ひとりが「我々の協会」「我々が力を合わせて公益目的事業を行っている」の意識を持って、周囲の未加入者に勧誘して戴き、入会した場合は、協会として、相応の感謝の意を表す。

Ⅲ 会議

Ⅲ-1 定時社員総会

第70回定時社員総会を、令和6年6月に東京で開催する。

Ⅲ-2 理事会

通常理事会を4回開催する。また、緊急を要する理事会議決案件であって、一堂に集い議論することを要しない案件及び感染症に対応するため、一堂に集い開催することが困難な場合については、その都度書面により理事全員の承諾を得ることとする。

Ⅳ 経営の合理化

協会は、事業実施分野、管理分野全般に亘り、経費の節減を行って来たところであるが、今後も会員の減少が見込まれることなどから収支が厳しくなることが懸念される。このため、令和6年度も経費の節減、業務の効率化に不断の努力を傾注すると共に更なる費用節減方策等を検討する。

また、公益社団法人として一層の社会的貢献を行うため、平成27年度に募集を開始した「寄附金等受入」を前年度に引き続き実施する。

Ⅴ 本部・支部の連携強化

事業の遂行に当たっては、本部・支部一体運営を強化すべく、日常的に情報連絡を行うと共に、本部・支部連絡会議を2回開催し、諸問題の検討、情報交換を行い、意思の疎通の更なる向上を図る。



別表

以上

 



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