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社団法人日本電気技術者協会 電気技術解説講座 文字サイズ変更ヘルプ
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実践的な複素数計算法(3)ΔーY変換による回路の簡単化 東京電気技術高等専修学校講師 福田 務

三つの端子間のインピーダンス結線にはΔ結線とY結線とがあり、インピーダンスを等価に保ったまま相互に変換することができる。三相交流回路では、電源の結線にもΔ結線、Y結線があるため、等価変換により結線を統一すれば計算が容易になる。また、一般の交流回路においてもインピーダンスをΔーY変換して回路構成を直並列回路に書き直せれば計算は簡単になる。ここでは、Δ結線からY結線、Y結線からΔ結線への変換公式を導くとともに、具体例により、問題を簡単化して解く方法を解説する。

1 ΔからYへの等価変換 (第1図→第2図)

formula007 formula007      formula008 formula008      formula009 formula009

 (式の覚え方の例) 第1図のΔ回路のa端子から見て、両側のインピーダンスの積を三つのインピーダンスの和で割る。他も同様。

 平衡三相回路では第3図に示すように

formula011 formula011  の関係がある。一般的に言えば、Δ→Y変換は利用度が高いが、 Y→Δ変換公式を示せば次のようになる。

2 YからΔへの等価変換 (第2図→第1図)

  formula012 formula012      formula013 formula013

   formula014 formula014

 (式の覚え方の例)

 分子はいずれも三組の積で共通である。分母はそのインピーダンスから遠い端子の記号をもつインピーダンス、例えば formula015 formula015 の場合遠い端子はcであるから、 formula016 formula016 とする。

3 回路網中にΔ回路が含まれていると、直並列計算では扱えない場合がる。

 [例題1]第4図の回路において、端子xy間の合成抵抗はいくらになるか。

 (ヒント)

 第4図の回路を第5図のように端子abcに着目し、等価なY回路に変換すると第6図のようになり、直並列計算が可能になる。

 (答) formula017 formula017

4 電験に出題された問題例

 [例題2]第7図の平衡三相回路について、次の(a)及び(b)に答えよ。

 端子a,c100[V]の単相交流電源を接続したところ、回路の消費電力は200[W]であった、抵抗R[Ω]の値として、正しいのは次のうちどれか。

  (1)0.30  (2)30  (3)33  (4)50  (5)83

 (b) 端子a,b,cに線間電圧200[V]の対称三相交流電源を接続したときの全消費電力[kW]の値として正しいのは次のうちどれか

 (1)0.48  (2)0.80  (3)1.2  (4)1.6  (5)4.0

 (解答)(a)端子a,c100Vの単相交流電源を印加した場合、回路の合成抵抗Racは   formula018 formula018  [Ω]となる

 ここで消費電力が200Wであることから  formula019 formula019  より

formula020 これを解いて R=30Ωとなる。 正解は(2)
formula020       これを解いて R=30Ωとなる。 正解は(2)

 (b)端子a,b,cに線間電圧200Vの対称三相交流電源を印加した場合、Δ結線の抵抗をΔ→Y変換すると第8図のようになる。

 ここで、R=30Ωであることから、負荷の一相分の抵抗値は25Ωとなる。

 したがって、三相消費電力P3[W]は線間電圧Vl線電流Ilとすると

formula021 正解は(4)
formula021   正解は(4)

 [例題3]第9図のような平衡三相回路の線電流Iの値として、正しいのは次のうちどれか。

 (1)5  (2)6  (3)7  (4)8  (5)9  

 [解答]

 Δ結線の負荷をY結線に変換すると

formula022 となる。これに線路抵抗を加えて、線電流I
formula022 となる。これに線路抵抗を加えて、線電流I
formula023 となる  正解は(1)
formula023 となる  正解は(1)

 [例題4]第10図のような平衡三相回路において、負荷の力率の値として正しいのは次のうちどれか。ただし、電源の角周波数を formula024 formula024  とする。

 (1) formula025 formula025   (2) formula026 formula026    (3) formula027 formula027

 (4) formula028 formula028    (5) formula029 formula029

 [解答]

 Δ結線の静電容量CY結線に換算すると、3Cになる。一相当たりのインピーダンスは、抵抗Rと容量リアクタンス  formula030 formula030 の並列回路になる。

 抵抗Rに流れる電流をIR  容量リアクタンスXCに流れる電流をICY結線の相電圧をEとすると、力率cosθは (第11図参照)

formula031
formula031

                 正解は(1)