〜終わり〜
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正弦波交流回路の電圧と電流の位相差は回路のインピーダンス(R,L,Cの構成)から求まるが、それはちょうど、三角関数の値から位相角を求めることに相当する。位相角を与えれば、三角関数の値は一意に決まるが、逆に、三角関数の値がわかっているとき、それに対する位相角を求めたいときがある。逆三角関数は、三角関数の値に位相角を対応させる関数である。今回は、この逆三角関数について学習する。
sinθ=xに適するθを θ=sin―1x またはθ=arc sinxと書く。
このsin―1は、あくまで記号であってアークサイン(arc sin)と呼び、xの逆三角関数という意味である。したがって正弦、余弦、正接の逆三角関数は
sinA=xならば A=sin― 1x またはA=arc sin x
cosB=yならば B=cos―1y またはB=arc cos y
tanC=zならば C=tan -1z またはC=arc tan z
のように書き表わす。
ところが、同じxの値に対する角θの値は一つではなく、たくさんある。例えば、sinθ= では第1図のようにθが60°、120°、420°、480°・・・のとき、すべてsinθは となる。
このように三角関数において、sinθ=sin(θ+2π)=sin(θ+2nπ)であったことのちょうど裏返しとして、一つのxに対して、(2πより小さい角+2nπ)だけのものが存在するが、n=0の場合を主値といって、電気の試験問題では主値を求めることで十分である。
主値はそれぞれの三角関数において、角の範囲に制限をつけたものである。
問題1 つぎの式で示すθ1〜θ6の主値を求めよ。
〔解〕
問題2 次式の各項は第1象限の角を表わすとして和を求めよ。
〔解〕
したがって
問題3 第2図のような抵抗と誘導リアクタンスの直列回路に1Aの交流電流を流したとき、電流と電圧の位相差はいくらか。ラジアンおよび度で示せ。
〔解〕 第3図のベクトル図より
問題4 第4図のような抵抗と誘導リアクタンスの並列回路に24Vの電圧を加えたとき、電圧Vと電流Iの位相差を求めよ。また、電流の大きさはいくらか。
〔解〕 第5図のベクトル図より
位相差
電流Iの求め方
各電流をI, IR、IL とすれば
(別解)
インピーダンスZは
問題5 第6図のような抵抗と容量リアクタンスの並列回路に240Vの電圧を加えたとき、流れる電流Iの大きさおよび位相角を求めよ。
〔解〕
回 路 | アドミタンス〔Y〕 | 電圧と電流の位相角 |
---|---|---|
(1)R-L並列回路 第7図(a) |
電流が遅れる |
|
(2)R-C並列回路 第7図(b) |
電流が進む |
|
(3)R-L-C並列回路 第7図(c) |
> 電流が進む < 電流が遅れる |
アドミタンス と位相角φとの関係は、第8図(a) ,(b),(c)で与えられる
問題6 第9図の回路において電流I1とI2の位相差を求めよ。
〔解〕I1の電源電圧に対する遅れ角をθ1とし、I2の電源電圧に対する進み角をθ2としてベクトル図を描くと第10図のようになる。
第10図より =(リアクタンス分)÷(抵抗)であるから、
したがってI1とI2の位相差θは