(1) 技術・コスト等
今後とも継続して次のような動きが進展すると考えられる。
- 環境面、省エネルギー面などからの要望
- 素子の発展(性能面、品質面、コスト面、保守・運用面など)
- 制御及び保護面の進歩(インバータ機器と電力系統現象との協調など)
- 応用技術の進歩
(各種機器への応用、ヘ゛クトル制御等の進歩、回転機等との組合せ・使い方など)
- はん用インバータ(モジュール)などの更なる標準化によるコストダウン
(より高度のチップの活用、負荷側の機器特性にマッチした制御技術など)
- ニーズの増大(分散電源関係、瞬時電圧低下対策関係など)
(2) トラブル防止面
① トラブル発生面
- 今のところ共通的(基礎的・実務的)な手引き書類が少ない印象である。
一方でトラブルは様々な形で発生している。
- 特に既設設備との協調(既設の設備への影響、既設設備とインバータ機器と
の相互関係など)面で様々な形態がみられる。
- 多くの場合、「高調波・高周波の発生となんらかの共振回路」が関係している
ことが多い。
② トラブル対応面
- 各分野で特に注意している項目・技術に若干の違いがみられる。
- 分野としては、開発・設計、計画、工場製作、現地工事、保守運用などがある。
- 各分野で経験したことはそれぞれが大切にして、その後に備えている。
一方で、各分野を統括した対応策、共通的な整理、フィードバックが少ない。
- いったんトラブルが発生すると調査、対応にかなりの時間を要することがある。
- 今後の技術動向としても、更に高度の機能へと動いている(見方を変えるとトラブル防止面では、実態として諸々の課題を抱えている)。
今回のテーマは、「
インバータに関する素子の発達に伴い、省エネ効果を含む高度な技術が一段と進む中で、高調波・高周波などの電力品質に関する技術の必要性」が
高まっていることから、
現場技術の視点に立ち実務面で役に立つよう取り組んだ。特に
トラブル事例の収集、
設備保守・管理面に対する実務上のアドバイスなどの整理に多くの時間を掛けた。
いずれにしても、このテーマは今後の実務にも関係することが多いと思うので、機能向上やコストダウンとともに安全やトラブル防止の観点から、今後の動向・進展を見守っていく必要がある。
主な参考文献は以下のとおりである。このほかにも多くの人々にトラブルに関する資料をいただきました。ご親切に教えてもらうこともありました。
心からお礼申し上げます。
① インバータとその技術に関するもの
- 汎用インバータ(省エネ、高性能化、環境適合性の現状)
(電気学会技術報告№807)
- インバータサージの絶縁システムへの影響(電気学会技術報告№739)
- パワーエレクトロニクス機器の電磁波ノイズ(電気学会技術報告№545)
- 絵ときでわかるパワーエレクトロニクス(高橋 寛(監修)、粉川昌巳(著))
等
② 高調波抑制策に関するもの
- 電力系統における高調波とその対策(電協研 平成2年)
- 高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策指針(日本電気協会)
等