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社団法人日本電気技術者協会 電気技術解説講座 文字サイズ変更ヘルプ
Presented by Electric Engineer's Association
電気機器を共用接地した場合の問題点と対策 安藤電気技術事務所 安藤 治

機器の保安接地において、配線用遮断器(MCCB)と漏電遮断器(ELCB)を混用する制御盤で、機器が共通接地母線で接地されている場合の問題点と対策について解説する。

 「MCCB保護の回路で地絡のトラブルが発生した場合、ELCBで保護した機器が誤動作して停止することはないか。」について、回答します。

 ご質問の回路が第1図のような回路であると想定して考えます。同図において、P点で地絡が起きたとしますと、地絡電流は図示の経路で流れます。したがって、ELCBの保護回路には地絡電流は流れないので、ELCBは動作することはありません。


質問2 

 機器の内部で地絡した場合は接地母線の電位(接触電圧)は、
             『接触電圧=地絡電流×接地抵抗』
で計算できます。したがって、第2図でわかるように、P点で地絡が起きた場合、機器Bの接触電圧(E)は、B種とD種の接地抵抗を按分比となります。このため、次のような値になります。
      

 

 確かに、共通の接地母線であればフレ-ムの電位は上がりますが、これはMCCB供給回路の全てに共通する問題で、ELCB回路のみ安全であればよいというわけではなく、内線規程1350-13では、次のように規定されています。


質問3

「上記に対応するには、具体的にどのようにしたらよいか。」に、回答します。

 以上のようなトラブルについて、具体的にどのように対応したら良いかということになりますが、感電に対する対応は、接触電圧が50V以下で、短時間であれば、致命的な災害にはならないと言われているので、内線規程にも明示されているように、D種接地の抵抗値を低減すれば、前述の数式で示すように接触電圧を低減する事ができます。
 また、地絡が発生した場合には電源側にELCBを設け遮断すれば、災害は防止できる事になります。 ELCBの取り付けが困難な場合には漏電火災警報器(常時監視装置)を取り付け発報時には早急に事故点を調べ、事故回路を速やかに切り離すのが現実的と思います。